【書評】『人間の器量』 福田和也

「なぜ日本人はかくも小粒になったのか」。そんな筆者の疑問から生まれた、器の大きさに関する考察。
 
現在の日本に、優れた人はいる、感じのいい人はいる。しかし大きい人、人物と呼べる人は、どこにもいなくなった。それはなぜなのか、どうすれば器を大きくすることができるのか。人の評価が簡単にひっくり返る理由、大隈重信が器を大きくするために心掛けたこと、明治日本で軍司令官に人格が求められた理由、英国の紳士が紳士になるメカニズム、ノブレスオブリージュを戦後日本が理解しえなかった理由、などなど。ページ数は少ないが、書かれている内容は重い。筆者の考えを読み取らせるだけでなく、読者自身に考えさせる良書。おすすめ