【書評】『灰緑色の戦史 ドイツ国防軍の興亡』 大木毅

近代ドイツ軍事史の第一人者が語る、第一次大戦開戦前から第二次大戦での滅亡までの、ドイツ国防軍の歴史。
 
ドイツ国防軍は、様々な「神話」に彩られた軍隊である。第一次大戦の必勝計画であるシュリーフェン計画から、電撃戦の衝撃、戦争犯罪に関わらない清廉潔白さに、王虎の不敗神話と、ヤーボ(戦闘攻撃機)による頼みの戦車隊の壊滅まで。伝説的な様々な通説に対し、近年の研究成果から反撃を仕掛ける一冊。通説が崩され新しい知見を得られる爽快さと、誤謬と失策により歴史が動かされる面白さを、同時に味わえる一冊。ある程度通説を知っている中級者なら、目から鱗が落ちること請け合いの一冊。おすすめ