【書評】『食の実験場アメリカ-ファーストフード帝国のゆくえ』 鈴木 透

アメリカ独立により、ローカル、ナショナル、インターナショナルの三要素が絶妙に共存する形で、食文化の基層が形成された」。そう語る筆者による、食を通じたアメリカ文化論。
 
アメリカは移民大国であり、それゆえに常に変わり続ける国家である。食の分野もまた然り。変わり続けるアメリカの食の変遷と、その行方を追った一冊。南北戦争が食文化に与えた影響、バーボンが生まれた背景、ケチャップが目指したもの、食の分野で移民が果たした役割、アメリカでファーストフードが発達した理由、戦後にピザの人気が向上した理由、などなど。食という切り口から見ると、アメリカはまた違った顔を見せる。だがそれもまた、アメリカの素顔の一つである。アメリカ文化研究の第一人者が語る、アメリカの歴史と現在を追った一冊。おすすめ