【書評】『我々はなぜ我々だけなのか』 川端裕人

「ぼくたちはどうして「ぼくたちだけ」になってしまったのだろうか」。そんな筆者の疑問から始まった、新しい人類学の教科書。
 
ホモ・サピエンスが登場するまでは、世界各地で多種多様の原人・旧人が暮らしていた。そんな人類の「多様性」はどのように失われていったのだろうか。またそんな原人・旧人たちと、我々現生人類とは交流はあったのだろうか。人類学の世界的な第一人者である海部陽介の監修のもと、人類学の最新の研究成果をまとめた一冊。
 
人類学は面白い。それは、我々はどこから来て、どこに向かうのか。そういう普遍的かつ根源的な問いに答えてくれるからだ。ただ、人類学は完成された学問ではない。21世紀に入ってからも、フローレス原人などのこれまでの定説を覆す大発見が生まれている。我々は、なぜ我々だけなのだろうか。そんな根源的な問いに答えてくれる未来を予感させらられる一冊。おすすめ