【書評】『自由論』 ベンサム・ミル

19世紀半ばに書かれた、現代にも通じる古典的自由論。
 
筆者のミルが生きた19世紀の英国は、絶対王制は過去のものとなり、自由主義的改革がなされていった時代。またいち早く産業革命を成し遂げた英国は、ヴィクトリア女王の下で史上最も輝かしい時代を迎えようとしていた。個人の自由はどこまで認められるべきか、個人と国家の関係はいかにあるべきか、そんな問いから生まれた一冊。個人への強制が認められるのはどのような場合か、権力によって個人を規制すべきかどうか、判断が信頼できるのはどのような条件があるか、意見の自由が認められるべき4つの理由、自分自身に対する義務とはどのようなものか、正当な原則と不正な原則の線引きはどこでなされるべきか、などなど。現代でも全く古びていない問いの数々。遠い過去の事象に、現代と相通じるものを見つけること。そんな古典を読む喜びに満ちた一冊。おすすめ