近年、国の政策決定の過程が文字にならず、あらゆるところで検証不能になっている。もし政治家や官僚が全く間違いを犯さないなら、記録などという手間もコストもかかる方法を避けるのも理解できる。だが例を挙げるのもばかばかしくなるほど、人間の判断には誤謬がつきものであり、現在の日本の低迷を見れば政治家や官僚もまた然りであることは言うまでもないだろう。公文書が残されなければならない理由、ヒラリーの私用メール事件がからみる公文書の在り方、霞が関の公文書に対する常識、敗戦と民主党政権で官僚たちが取った共通する行動、などなど。膨大な時間と数多くの官僚への取材を通じて見えてきた、公文書の危機。この国の現状を知るうえで、今読まれるべき一冊。おすすめ