【書評】『資本主義の終焉と歴史の危機』 水野 和夫

「ゼロ金利は、一定期間資本を投下してそれ以上に利潤を得るという資本主義のシステムが限界に達した証拠」。そう語る筆者による、資本主義の行く末。
 
資本主義は16世紀にはじまり、フロンティアの開拓を通じて発展してきた。だが現在は、地球上のどこにもフロンティアは存在せず、資本主義は死期を迎えつつある。新興国の近代化がこれまでと違う理由、金融政策がバブルを生むメカニズム、財政出動をしても景気が回復しないわけ、非正規労働者が急速に増えた理由、各国で中間層が減りつつあるわけ、などなど。現在の経済危機のメカニズムがよくわかる一冊。筆者が言う「歴史の危機」を解決する手段は述べられてはいない。だが現状を知り、歴史を紐解くことで、解決策を考えるヒントとなる一冊。おすすめ