「我々が内に持つ問題点は、その外面的変化の華々しさに関係なく、何らの解明も解決もされずに、そのまま残っている」。フィリピンで砲兵少尉として戦った筆者が語る、今に続く
帝国陸軍の問題点。
なぜ
帝国陸軍は敗れたのか。政治的に見れば組む相手を間違えたこと。戦略的に見れば戦力も装備も劣っていたこと。だがそれ以前の問題として、
帝国陸軍が現実を見ない、虚構の存在であったことを筆者は強調する。
一点豪華主義の誤り、精神論が重視されたわけ、
占領政策が失敗した必然的理由、員数主義という最大の害悪、
統帥権干犯の2つの意味、
夜郎自大のつけ、司令部が戦場の実態を把握できなかった理由、などなど。
帝国陸軍の問題点を挙げながら、根底に潜む日本人の習性を暴いた一冊。40年以上に書かれたとは思えないほど、現代の日本にもつながる日本人論。おすすめ