【書評】『防災アプリ特務機関NERV』 川口穣 

日本最大の防災アプリであり、Xアカウントである特務機関NERV。謎に包まれた機関の、内実を探ったノンフィクション。
 
特務機関NERVとは、エヴァンゲリオンシリーズに登場する、使徒殲滅を主要任務とする架空の組織である。そしてまた、災害情報を最速で配信する実在の組織でもある。その創業者と、NERVの歩みを追った一冊。創業者である天災ハッカー石森の生い立ち、彼の運命を変えた3月11日、「NERV」の名を使うジレンマ、NERVが社会インフラになるまで、石森が持つ最大の武器、などなど。大学生の遊びが、人を動かし、社会を変え、そしていつしか当たり前の風景となる。そんな壮大な物語を描いた一冊。おすすめ