「ヒトラー独裁は、文化的で進んだ近代社会がごく短期間のうちにイデオロギー戦争、残虐な征服、ジェノサイドという野蛮の極みに向かいうることを警告している」。そう語るドイツ近代史研究の世界的権威である筆者による、ヒトラー研究の金字塔。
【書評】『新鉄客商売 本気になって何が悪い』 唐池 恒二
「一つの夢がかなうということは、その夢が夢でなくなるということ。次なる夢を描かなければ組織は停滞してしまう」。そう語る筆者による、仕事を本気で楽しむための要諦。
【書評】『経済学者、待機児童ゼロに挑む』 鈴木亘
「待機児童問題をこのまま放置していては、日本の将来はありません」。そう語る筆者による、待機児童問題の背景と、その対策、改革の実行方法について。
3児の父として、16年にわたり日本各地や海外で様々な保育園を利用してきた筆者。経済学者として理論はもちろん、実際に保育園を利用する立場からも豊富な経験を重ねてきた筆者だからこそ語れる、待機児童問題の本質とは。また後半は、かつてあいりん地区の支援で鍛えた合意形成と政治力を発揮し、東京都顧問として改革に挑む激動の戦記。
絵に描いた「解決法」を提示するだけでなく、改革の現場でその解決法を実施するまでが描かれており、一冊で二度おいしい書である。また巻末の本人お決まり「必敗パターン」は、失敗の本質として興味深い。待機児童問題を語るうえで、必読の一冊。おすすめ
【書評】『ゾミア』 ジェームズ・C・スコット
「元々は平地で暮らし、何かの事情で山に移り住んだ人々の暮らしが、平地文明の本質を映し出す鏡になっている」。そう語る筆者による、山地民から見た国家論。
ゾミアとは、ベトナムからインド北東部にかけての山岳地帯のことで、250万平方キロメートルもの広大な土地と、1億人にも及ぶ多種の少数民族が住んでいる。山岳地帯ゆえに、いまだに国民国家に統合されていない人々も多数存在する。この地域を研究することで、国家形成についてのもう一つの視点が得られる。中央集権型で、人口密集型の平地国家。平等主義で流動的な社会構造を持つ山地民。この2つの対比をベースに、人類がいかに国家を生み出し、いかに国家を築いてきたかについての、重厚かつ壮大な物語。
【書評】『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』 高野秀行、清水克行
「ほんとうに面白い本を読んだとき、人は「誰かとこの本について語り合いたい」という強い欲求におそわれる」。そう語る筆者による、贅沢すぎる知の競演。