【書評】『愛と怒りの行動経済学』 エヤル・ヴィンター

感情面から行動経済学を解説した一冊。
 
なぜ人は利他的行為を取るのか、なぜ社会には怒りをあらわにする人が目立つのか、なぜ災害時に人は親切になるのか、なぜ男性が年上の夫婦が多いのか、なぜ謙虚な人が成功できるのか、などなど。この社会の「当たり前」だと思っていた事柄の数々が、明確な論理と、綿密な実験と、的確な考察により解き明かされていく様が痛快な一冊。人が感情を持つのは、それが進化の過程で失われなかったのは、感情が合理的な側面も持ち合わせているからだと思う。感情を抑えることではなく、感情を意図してコントロールすることの面白さを発見できる一冊。おすすめ