【書評】『ブロックチェーン・レボリューション』 ドン・タプスコット、アレックス・タプスコット

たいていの技術は末端の仕事を自由化しようとするが、ブロックチェーンは中央の仕事を自動化する」。そう語る筆者による、ブロックチェーン技術の入門書。
 
ブロックチェーンの基礎からその仕組み、そして世界をいかに変えていくかまでを解説した一冊。ブロックチェーン技術により、海外送金が早く安くなり、以前は無理だった取引が可能になり、インフラ整備は自動で行われ、民主主義は蘇り、アーティストたちはあたらな収入源を得る。そういったバラ色の未来だけではなく、大量のエネルギー消費、政府や既存企業からの妨害、犯罪への悪用など、まだ未熟な技術であるブロックチェーンの課題についても述べられている。
 
ブロックチェーン技術の仕組みも、目指す世界も、どちらも集権ではなく分散を志向している。まだまだ課題の多い技術ではあるが、その先には面白く、そして公平な世界が待っている。既知の基礎的な内容も多く、また回りくどい言い回しも目立つが、未来を楽観視するするならばぜひ読んでおきたい一冊。おすすめ