【書評】『レッドムーン・ショック』 マシュー・ブレジンスキー

米ソ宇宙開発競争の舞台裏を描いた意欲作。
 
この長い物語は、1944年のオランダから始まる。ナチスが開発したV2ミサイル、その遺産をめぐる米ソの主導権争い、核開発競争とその輸送手段をめぐる競争、スプートニクショック、アメリカの人工衛星打ち上げまでの、人類が宇宙へ踏み出すまでの物語。元々は核爆弾の輸送手段として開発が始まった米ソのロケット。ある意味、誰も予想しなかった形で宇宙開発競争が始まるまでを描く。
 
スプートニクが打ち上げられた本当の理由、ソ連が犬を短期間で宇宙に送り込めた理由、コロリョフの評価がソ連で低い理由、スプートニクショックに対して米国政府の対応が遅れた理由、などなど。知られざる米ソ宇宙開発競争の秘話の数々は、ページを繰る手が止まらなくなる。おすすめ