【書評】『テクニウム』 ケヴィン・ケリー

「必要条件となる知識や道具が整ったときに、発見は事実上必然となる」。そう語る筆者による、テクノロジーの本質とは。
 
グローバルで大規模に、相互に結ばれているテクノロジーのシステム。それを筆者はテクニウムと名付けた。我々人類は石器から蒸気機関、コンピューターまで様々なテクノロジーを発明してきた。それらのテクノロジーに通底するものは何か。生命における生態系と同様に、テクノロジーの進化にも、歴史的必然性が潜んでいる。新しいテクノロジーの進化は必然で、それを止めることはできない。しかし各テクノロジーの性格を決めるのは、我々なのだ。
 
人類の寿命とテクノロジー進歩の関係とは、ガラクタばかりしか作らない人類が進歩していると言える理由とは、繁栄の結果として人口が減る理由とは、テクノロジーの進歩が必然と言える理由とは、ムーアの法則が汎用的に使える理由とは、テクノロジーの禁止令が意味がない理由とは、などなど。テクノロジーのこれまでと、これから。その双方に対してこれほど示唆の多い著作はないのではないだろうか。テクノロジーに関わる者にとって、羅針盤となるべき一冊。いちおし