【書評】『『銀河英雄伝説』にまなぶ政治学』 杉浦功一、大庭弘継

タイトル通り、銀河英雄伝説を例にとりながら、政治学を学ぶ一冊。
 
30年以上前に完結した作品でありながら、いまだに根強いファンを持つ銀河英雄伝説。戦略戦術の要素ばかりではなく、専制政治と民主政治という異なる政治体制の戦いの物語でもある。こういった便乗系の作品の評価は大きく分かれることが多いと思う。本作品の威を借りる狐か、単体でも読書に耐えうる良書か。本書は間違いなく後者である。非常時と平時それぞれのリーダーの在り方とは、クーデターを認めるべきかどうか、英米で民主主義を進展させたある要因とは、現在人が抱えるヤン以上のジレンマ、テロを許すべきではない理由、などなど。分かりやすい題材の取り方で、現代政治学の基礎が学べる一冊、おすすめ