【書評】『発酵文化人類学』 小倉 ヒラク

「発酵+文化人類学」という、交わらないはずの線をつなげた学問の書。
 
筆者は発酵と微生物の研究者であり、また文化人類学の学徒でもある。そんな筆者だからこそできた、発酵から見た文化と風土と経済と芸術と。国内の発酵産業の市場規模、腐敗と発酵の違い、欧州でワインが水より安い理由、甲州ワインの奥深さ、日本酒だけが持つ技術的な特徴、日本酒の消費量が下がっているカラクリ、などなど。軽妙な筆致と、知識の振れ幅の大きさとで、夢中になること請け合いの一冊。いちおし