【書評】『「あ」は「い」より大きい』 川原繁人

名は体を表すという言葉がある。それと同時に、名前から受ける印象も大きい。だが、そういった印象はどのように決まるのか。そんな疑問を学問に昇華した、音声学の研究者による入門書。
「男性っぽい名前」や「女性っぽい名前」はどのように決まるのか。日本人の名前なら、経験から容易に推察できる。だが外国人の名前でも、何となくどちらがどちらか当てることができる。それはなぜなのだろうか。マナカナはなぜカナマナではないのか、疑問文で語尾が上がる理由、濁音と怪獣の名前の関係、赤ちゃんがパパやママという言葉を使う理由、パ行が日本語の中で占める特別な地位、などなど。思わず膝を打つような、新鮮な驚きに満ちた一冊。今まで当たり前に感じていたことが、より解像度を上げて見れるようになる。いちおし