【書評】『書く仕事がしたい』 佐藤 友美

" data-en-clipboard="true">「物書きとして生きることは、目をこらし、耳をすませ、取材者として生きる態度を持つこと」。そう語る筆者による、物書きとして生きるためのノウハウ。 " data-en-clipboard="true"> 筆者自身が冒頭で述べているように、この本…

【書評】『友情を哲学する』 戸谷洋志

「友情とは、契約に基づかず、誰からも管理されず、常に解消可能な関係。本質的に不安定である」。そう語る筆者による、様々な哲学者の友情観の解説書。 古来より、友情は哲学の主要テーマの一つであった。アリストテレス、カント、ニーチェらの哲学の巨人た…

【書評】『香川にモスクができるまで』 岡内大三

香川にモスクをつくる。あるムスリムコミュニティとそのリーダーの奔走を追ったノンフィクション。 ノンフィクションライターである筆者は、ひょんなことからあるインドネシア人と知り合う。彼は溶接工として働きながら、日本人の妻と3人の娘を養い、在日ム…

【書評】『ひらめかない人のためのイノベーションの技法』 篠原 信

" data-en-clipboard="true">「不器用、発想が乏しいと言われても、絶望する必要はない」。そう語る筆者による、凡才のためのイノベーションの技法。 " data-en-clipboard="true"> 筆者は農業研究者として、それまで不可能とされてきた様々な技術を開発して…

【書評】『Invent & Wander──ジェフ・ベゾス Collected Writings』 ジェフ・ベゾス

" data-en-clipboard="true">「アマゾンでは、毎日がはじまりの日です」。そう語る筆者による、アマゾン成功の哲学。 " data-en-clipboard="true"> 今や我々の生活に欠かせないインフラとなった、アマゾン。その創業者であるジェフ・ベゾスが語る、Day1哲学…

【書評】『それでもあなたを「赦す」と言う』 ジェニファー・ベリー・ホーズ

ヘイトクライムにより引き起こされた事件と、残された遺族の悲しみについて。そしてそれでも、赦すということについて。 2015年6月17日、米国サウスカロライナ州のエマニュエル教会で発生した、銃乱射事件。州上院議員を含む9名が亡くなり、当時のオバマ大統…

【書評】『ミステリーの書き方』

ミステリー小説の書き方について、当代一流の作家たちがその手法を公開する一冊。 ミステリー作家は、どのように作品を生み出しているのか。東野圭吾曰く、一言で言えば「苦労して」作品を生み出している。なぜならば、一つのミステリー作品を生み出すために…

【書評】『「あ」は「い」より大きい』 川原繁人

名は体を表すという言葉がある。それと同時に、名前から受ける印象も大きい。だが、そういった印象はどのように決まるのか。そんな疑問を学問に昇華した、音声学の研究者による入門書。 「男性っぽい名前」や「女性っぽい名前」はどのように決まるのか。日本…

【書評】『嫌われた監督』 鈴木 忠平

中日ドラゴンズの落合博満監督、多くの関係者の証言を基に、その素顔に迫る一冊。 落合博満は8年間にわたり中日ドラゴンズの指揮を執り、全ての年でAクラス、リーグ優勝4回、日本一1回の実績を残した。まごうことなき名将であり、彼のもとで中日ドラゴンズは…

【書評】『人体大全』 ビル・ブライソン

人体。この最も身近でありながら、いまだに多くの謎を秘めた存在の秘密についての一冊。 人体を構成する元素は59種類であり、その材料費は5セントとも、168ドルとも、15万ドルとも言われている。もちろんそれらの材料を揃えただけで、人体をつくれるわけでは…

【書評】『少子社会日本』 山田昌弘

「子どもは「希望」の象徴である」。そう語る筆者による、少子化への処方箋。 筆者は「パラサイト・シングル」や「婚活」という言葉の名付け親としても知られ、少子化問題や家族問題の第一人者として、様々な研究や提言を行っている。そんな筆者が主張する、…

【書評】『気候変動と「日本人」20万年史』 川幡 穂高

気候変動という切り口から、日本人の歴史を再定義した意欲作。 歴史を大きく動かす要因の一つとして、気候変動がある。中国史では冷害や大雨などにより飢饉が発生し、時の王朝が倒されるというのはよく見る光景である。日本史においても、源平合戦で平家が負…

【書評】『八九六四』 安田峰俊

八九六四、すなわち1989年6月4日に起こった、天安門事件の真の姿を追ったルポルタージュ。 現代中国の最大のタブーである、天安門事件。中国国内では「六四」と検索できないとも、LINE乗っ取り犯に「天安門事件」と送ると黙るとも言われ、様々な憶測や陰謀論…

【書評】『暁の宇品』 堀川 惠子

「人類初の原子爆弾は、なぜ広島に投下されなくてはならなかったか」。そんな筆者の疑問から始まった、宇品の歴史。 1894年の日清戦争を機に、大本営が広島に移されたことはよく知られている。のみならず、帝国議会も広島で開かれ、首相をはじめとする閣僚も…

【書評】『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』 ケイト・マーフィ

誰もが声高に自分の主張を繰り返す世界。そんな世界における、「聴く」ことの重要性について。 コミュニケーションには、伝える力と聴く力、その両方が必要である。だが我々は、伝える力や話し方ばかりに意識を向けてしまう。この忘れられがちな「聴く」力に…

【書評】『DXの思考法』 西山 圭太

いま何か決定的な変化が起こりつつある。そんな時代の、DXの解説書。 筆者は経産省の官僚として、世界各地の知の巨人と親交を結び、日本の経済・産業システムの第一線で活躍してきた人物である。そんな筆者が、DXの本質とその展望を語る一冊。創業間もないイ…

【書評】『世界は贈与でできている』 近内悠太

「僕らは、他者から贈与されることでしか、本当に大切なものを手にすることはできない」。そう語る筆者による、贈与論。 世の中には、お金では買えないものがある。筆者はそれを「贈与」と呼ぶが、必要であり重要なその贈与について、我々はよく分かっていな…

【書評】『逆・タイムマシン経営論 近過去の歴史に学ぶ経営知』 楠木 建、杉浦 泰

バズワードに惑わされる、「同時代性の罠」から逃れるにはどうすればいいか。そんな筆者の疑問から生まれた、近過去の歴史の活かし方。 「今こそ激動期」と言われ続けながら、ことごとく外れる未来予想。「日本的経営は崩壊する」と言われ続けてはや50年、い…

【書評】『日本が生んだ偉大なる経営イノベーター 小林一三』 鹿島茂

阪急電鉄をはじめ、宝塚歌劇団、阪急百貨店、東宝、阪急ブレーブス、果ては昭和電工や日本軽金属など、多くの企業の生みの親である、小林一三の伝記。 筆者は、小林一三ほど合理的精神を発揮した経営者はいないという。それはつまり、正しい損得勘定ができる…

【書評】『真実の原敬』 伊藤之雄

「原は明治維新を受け継ぎ、日本を新しい国際環境に適合させるため、大改革を行った」。そう語る筆者による、平民宰相の真実。 原敬は、歴代の総理大臣の中でもかなり名の知られている人物である。賊軍であった東北出身、本格的な政党内閣、爵位を持たない平…

【書評】『「答えのないゲーム」を楽しむ思考技術』 高松智史

ビジネスは「答えのないゲーム」。それを楽しむためにはどのような思考をすればいいか。そんな筆者の問題意識から始まった、考えるための攻略本。 この本の結論はシンプルだ。「考える力」はスキルであり、技術。だから、身につけることができる。では、その…

【書評】『絶滅の人類史』 更科功

「私たちの祖先は、弱かったがゆえに生き残った」。そう語る筆者による、ホモ・サピエンスの進化の歴史。 我々ホモ・サピエンス以外にも、分かっているだけで25種類もの人類が存在していた。だがそれらは、我々を残してすべて絶滅してしまった。知能が劣って…

【書評】『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』 アダム・グラント

「オリジナルとは、自らのビジョンを率先して実現していくこと」。そう語る筆者による、オリジナルになるための方法論。 筆者は組織心理学者として、様々な組織の研究やコンサルティングを行ってきた。その経験から得られた、創造性を高めるための秘訣とは。…

【書評】『ビジネス・フォー・パンクス』 ジェームズ・ワット

「会社は死ぬが、革命は死ぬことはない。だったら会社ではなく、革命を始めればいい」。そう語る筆者による、パンクな経営論。 筆者は弁護士、トロール漁船の船長という異色の経歴の後、クラフトビールメーカーを立ち上げた。過激で挑発的なプロモーションで…

【書評】『発酵文化人類学』 小倉 ヒラク

「発酵+文化人類学」という、交わらないはずの線をつなげた学問の書。 筆者は発酵と微生物の研究者であり、また文化人類学の学徒でもある。そんな筆者だからこそできた、発酵から見た文化と風土と経済と芸術と。国内の発酵産業の市場規模、腐敗と発酵の違い…

【書評】『絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか』 アビジット・V・バナジー ,エステル・デュフロ

「本書を書いたのは、希望を持ち続けるためである」。ノーベル経済学賞を受賞した筆者による、より良い世界のために経済学ができること。 世界は、課題で満ちている。経済学が関わる範疇だけでも、移民、貿易、成長、不平等、環境、などなど。そういった課題…

【書評】『地図から消えるローカル線』 新谷幸太郎

「人口減少下で持続可能なインフラをどう構築するか」という問いに対し、鉄道という観点からその課題を俯瞰した一冊。 筆者らは野村総研の有志で、自主研究をまとめたものである。ローカル線の維持費用、黒字路線になるために必要な乗客数、地方が抱える鉄道…

【書評】『20歳の自分に受けさせたい文章講義』 古賀史健

「「書く技術」を身に付けることは、「考える技術」を身に付けること」。そう語る筆者による、文章の書き方講座。 我々は、様々な文章を書くことを求められる。だがその文章の書き方自体は、みな我流で行っている。ライターとして活躍する筆者が、自分の持つ…

【書評】『人を選ぶ技術』 小野壮彦

人を見る目がある、とはどういう状態か。経営層のヘッドハンターとして活躍した筆者による、人を見る目の科学的な鍛え方。 筆者によると、人は2つの軸で分けられる。優秀か平凡か、善か悪か。人材を採用する際、誰もが優秀な善人を採りたいと思う。そして悪…

【書評】『シベリア出兵』 麻田雅文

サブタイトルは『近代日本の忘れられた七年戦争』。知られざるシベリア出兵の内実を明かした一冊。 その名の通り、長きにわたる年月と、膨大な戦費と、数多くの犠牲を出したシベリア出兵。だがその結果として、得られたものはほとんどなく、失ったものがはる…